このブログではビールについての記事を書いていますが、先日、黒ビールの違いとそれぞれの特徴についての記事を書きました。
黒ときたら次は白についてもまとめてみたくなったので、今回は、「白ビール」と呼ばれるビールについて書いてみたいと思います。
「白ビール」の種類
そもそも白ビールとは、小麦を使ったビールのことを指します。主にドイツ発祥の「ヴァイツェン」、ベルギー発祥の「ベルジャンホワイト」が挙げられます。
ウィキペディアの「白ビール」のページに詳しい説明が書いています。
外部サイト:
白ビール - Wikipedia
しかし、「ドイツのヴァイスビア」として紹介されている画像をよく見て見ると、「ヴァイツェン、全然白くないやん!」と突っ込みたくなります。
ドイツのヴァイスビア
著作権者:Trexer、ライセンス:CC 表示-継承 3.0、https://ja.wikipedia.org/wiki/白ビール
こちらは以前飲んだパウラーナーの「ヴァイツェン」ですが、明らかに濃色で、どちらかというとピルスナーの方が白いんじゃないかと思うくらいです。
濃白色とでも表現すべきでしょうか。
もちろん、ものによっては鮮やかな白色をしたヴァイツェンもあり、一概には言えませんが、本場ドイツのヴァイツェンが割と濃色であるのに白ビールと呼ぶのが不思議ではあります。
なぜ「白ビール」と呼ばれるのか?
ではなぜ白ビールと呼ぶのでしょうか?
村上満さんの「ビール世界史紀行」にとても興味深い一説がありましたので、引用させていただきます。
つまり、「白い」の基準がミュンヘンの伝統的なスタイルのダーク・ラガーにあったため、白ビールと呼んだのですね。
これはペール(淡色)エールも同じく、ポーターやスタウトなどの黒ビールを基準としているため、褐色ではありますが「ペール」なのです。
あまり知られていないと思いますが、大変興味深い話です。
ドイツとベルギーの白ビールの違い
ドイツの白ビール「ヴァイツェン」とベルギーの白ビール「ベルジャンホワイト」は共通して小麦を使っています。
ではこれら2つのスタイルの違いは何でしょうか。
原材面で言うと、ベルジャンホワイトはコリアンダーシードやオレンジピールといった副原料が使われていることが多いです。また、使われているビール酵母の種類も違います。
ここからは、これまでブログで紹介してきた内容をもとに、飲んだ時に感じた味の違いについてまとめたいと思います。
ヴァイツェン
こちらは大分空港で飲んだ、Beeroh!の超生ヴァイツェンです。
ヴァイツェンの特徴としては、何と言ってもバナナやクローブを思わせるエステル香です。小麦由来の緩やかな酸味を感じるのも特徴で、苦味がなく、とても飲みやすいです。
また、濁った色をしたヴァイツェンと濁っていないヴァイツェンがありますが、濁っているのは「ヘーフェヴァイツェン」と呼びます。ヘーフェとは、ドイツ語で「酵母」の意味です。酵母が残った無ろ過のヴァイツェン、という意味です。
□おすすめのヴァイツェン
・ヴァイエンステファン ヘフェヴァイス(ドイツ・ミュンヘン)
全てはここから始まったと言っても過言ではないでしょう。この醸造所は1040年に創業した老舗中の老舗です。ここで造られるヘフェヴァイスは幻の白ビールとも呼ばれています。1000年近くの時を経て、今尚愛されている白ビールです。オクトーバーフェストなどで飲むことができるので、ぜひ一度飲んでみてください。瓶ビールで買うこともできます。
・銀河高原ビール 小麦のビール(岩手)
続いては岩手県のクラフトビールブルワリー、銀河高原ビールの「小麦のビール」です。
こちらも"無ろ過"のヘーフェヴァイツェンです。バナナ香が支配的で、キャラメルのような甘みが特徴です。このビールはスーパーなどでも買うことができて、本格的なヴァイツェンの中では、もしかしたら一番手に入りやすいヴァイツェンかもしれません。
・胎内高原ビール ヴァイツェン(新潟)
こちらは新潟県の胎内高原ビールのヴァイツェンです。このビールは海外のビアコンペでも高評価を得ています。僕は胎内市へのふるさと納税の返礼品でもらって飲みました。
クローブの香りがとても上品に香り、芳醇な香りが鼻から抜けていきます。モルトの甘味・旨味も感じられ、後味はスッと消えていきます。とても美味しいヴァイツェンです。
他にもまだまだ紹介しきれていないヴァイツェンがありますので、こちらのリンクをご覧ください。
https://pivoblog.com/tag/weizen
ベルジャンホワイト
続いてはベルジャンホワイトです。
ベルジャンホワイトは、材料に特徴があります。小麦を使っているのはヴァイツェンと同じですが、他にもハーブやコリアンダー、オレンジピールと言った副原料が使われているものが多いです。また酵母もヴァイツェンとは違うでしょう。
フルーティでクリーミーな口当たり、ハーバルでスパイシーな香味が香味が特徴的です。ヴァイツェンのようなバナナ香はありません。
□おすすめのベルジャンホワイト
・ヒューガルデンホワイト(ベルギー)
やはり一番有名なのはこのヒューガルデンホワイトだと思います。ベルギーを代表する銘柄として、日本でも有名です。缶ビールがスーパーに置いてあったりします。グラスも有名です。僕は500mlのグラスを持っていますが、なかなか使いどきがなくて少し困っています。
このビールを生んだのは「ピエール・セリス」という醸造家です。ビール検定には3級ですら出てくるレベルの有名人です。
・ブルームーン(アメリカ)
このビールもとても有名だと思います。アメリカを代表するクラフトビールです。
飲んだことのある方も多いのではないかと思います。ニューガルデンホワイトに並ぶ、二大外国のベルジャンホワイトと言えるでしょう。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
・常陸野ネストビール ホワイトエール(茨城)
続いて紹介するのは常陸野ネストビールのホワイトエールです。このビールはイベントで飲んだのでプラカップです。コリアンダー、オレンジピール、ナツメグ等が入っていて、ハーバルで爽やかな香り、クリーミーでなめらかなのどごしが特徴です。
世界的なビアコンペでも高評価を得ているビールで、日本を代表するクラフトビールです。
・軽井沢高原ビール ベルジャンホワイト(長野)
続いては、軽井沢高原ビールのベルジャンホワイトです。
このビールは国内のベルジャンホワイトの中でも美味しいベルジャンホワイトだと思います。軽井沢でしか手に入らないと思うので、なかなか手に入れるのは大変かもしれません。ヤッホーブルーイングの出しているブランドです。
優雅で丸みを帯びた酸味、スパイシーでハーバルな香味が鼻から抜けていきます。苦味がなく、後味は思いの外みずみずしくて良いです。
・京都醸造 朧月(京都)
最後は京都醸造の朧月です。
京都醸造はベルギースタイルのビールに特化したクラフトブルワリーです。このビールは京都のブルワリーまで行って飲みました。ふんわりとした泡と濁った淡い白色をしていて、見た目もとても良いです。柑橘系のホップフレイバーがいい感じで、紅茶のような芳醇な香りがします。ウィートの酸味、ホップ由来の甘みのバランスが良く、ドライでドリンカブルな一杯でした。
他にも、国外であれば、セント・ベルナルデュス醸造所(ベルギー)のセント・ベルナルデュス・ホワイト、国内であればヤッホーブルーイングの水曜日のネコや伊勢角屋麦酒のヒメホワイトと言った有名なベルジャンホワイトがありますが、長くなってしまうので割愛します。
https://pivoblog.com/tag/belgianwhite
まとめ
今回は、「白ビール」について書きました。
白ビールとは、ヴァイツェンやベルジャンホワイトなど、小麦を使ったビールの呼び名です。小麦を使っているため、ほのかな酸味が出て爽やかな味わいになり、口当たりはまろやかになります。ピルスナーに慣れ親しんでいる身としては(日本人は皆そうだと思いますが)、褐色の白く濁ったビールを見ると、普段からはあまり飲まないビールのせいか、とても美味しそうに見えます。
やっぱりビールはいろんなスタイルがあってとても楽しい飲み物です。ビールを楽しむ際の少しでも参考になれば幸いです。「黒ビール」についてもまとめているので、こちらもぜひお読みください。
今回は以上です。