ジャズ関連本を紹介する記事の最終回になります。
ここまで、①では「ジャズの歴史」について、②では「ジャズの聴き方」について、僕が読んで参考になった本を紹介してきました。
最後の今回は、いざCDショップへ行ったときに、実際にどんなCDを借りれば間違いないのか?どんなCDから入れば良いのか?を知るための書籍についてご紹介します。
前々回の記事:ジャズ入門①(ジャズの歴史とジャズを生んだ黒人の歴史)
前回の記事:ジャズ入門②(ジャズの聴き方)
contents
ジャズに詳しくなるために
ジャズの名盤を調べるにあたり、僕はシンプルに参考になりそうな本を片っ端から買っていきました。
参考にしたのはAmazonのレビューです。僕は詳しくなりたかったのです。今でもそれは同じ気持ちです。
今回は、買った本をひと通りご紹介していきたいと思います。どれも切り口が違うため、使い分けをしています。
正直なところ、まだちゃんと読み込めていないものもあります。が、どれも参考になる本であることは間違いありません。ではご紹介していきます。
ジャズを聴くならまずはブルーノートから
はじめてのブルーノート
著者:小川隆夫
出版社:音楽之友社
優れたスカウトマンでもあったアルフレッド・ライオン
ブルーノートは、多くのジャズファンが愛してやまない、アメリカの名門ジャズレーベルです。ドイツ人のアルフレッド・ライオンによって創設されました。
ライオンは、優れたスカウトマンでした。ジャズクラブに通っては、気に入ったジャズマンをスカウトし、スタジオで録音させました。ブルーノートは初リーダー作品が多いことで知られています。
優れたジャズマンを数多くジャズ界に輩出しました。ブルーノートの歴史はモダンジャズの歴史と言っても過言ではありません。
歴史的な名盤を数多く世に送り出しています。
主要なジャズマンはおさえられる!
また、ブルーノートでレコーディングされたアルバムは音質がとてもいいことで知られています。これは、ルディ・ヴァン・ゲルダーという優れたレコーディング・エンジニアがいたからです。
ジャズを聴くならまずはブルーノートからと言われる理由の一つです。この本は、そんなブルーノートでレコーディングを行ったジャズマンたちの歴史を見開きの2ページで1話完結の100のストーリーで構成されたものです。
これを読めば、1940年代後半から現在に至るまでの、主要なジャズマンは抑えられるのではないかと思います。モダンジャズの流れを掴むのに優れた本です。僕はまず最初にこれを読み、この本に登場したジャズマンのCDを借りていきました。
CDを借りる上ではこの本が起点となりました。
一家に一冊は欲しい、ブルーノートのガイドブック
決定版ブルーノート・ブック―史上最強のジャズ・レーベルのすべて (ジャズ批評ブックス)
著者:ジャズ批評編集部
出版社:松坂
この本は、ブルーノートレーベルからリリースされた全アルバムひとつひとつについて解説した本です。
とても全てのアルバムの解説は読みきれていませんが、聴いたアルバムについての解説を読んでいきます。
解説を読んでやっと1枚のアルバムを聴き終えるような感覚です。とても充実した気持ちになります。
この人とこの人がこのアルバム以来の共演だ、とか、解説は結構マニアックです。このストイックさがたまりません。
ブルーノートのガイドブックとしては最高峰と評価も非常に高いです。知識に溺れたいタイプの人にはオススメの本です。
聴いた感じでジャズを分類してくれる、ジャズの参考書
著者:一生モノのジャズ名盤500 (小学館101新書)
出版社:後藤雅洋
ジャズを聴いていくと、自分の好みも徐々にわかってきます。好きなタイプがわかると、同じような感じのアルバムが知りたくなります。
続いてご紹介するのは、そんなニーズに応えてくれる本です。この本では、変わった切り口からジャズのアルバムを紹介しています。
著者はジャズ喫茶の「いーぐる」の店主・後藤雅洋さんです。後藤さんの豊富な経験に基づき、聴いた感じ別に500枚のジャズアルバムを18のジャンルに分類してくれています。
使い方としては、気に入ったアルバムと近い雰囲気のアルバムを探すときにとても役立ちます。
どちらかというと、一つ上で紹介した本よりも力を抜いて手に取ることができるのではないかと思います。
国際的大アンケートによるブルーノートランキング
ブルーノート100名盤
著者:ブルーノートクラブ
出版社:平凡社
ここまで来ると、ある程度有名なジャズマンは抑えることができてきます。この本では、ジャズに精通する著名人が選ぶジャズの名盤がランキング形式で紹介されています。
登場する著名人はそうそうたるメンバーで、上で紹介したルヴィン・ヴァン・ゲルターや、マイケルカ・スクーナといった、ブルーノートにおける主要人物の評価が見れるのも面白いです。
また他人の評価コメントを、自分の好みと照らし合わせることで、自分の感覚を確かめるのに使うこともできます。
ディープなジャズ・インタビュー集
ジャズマンが愛する不朽のJAZZ名盤100
著者:小川隆夫
出版社:河出書房新社
この本を購入した大きな理由の一つは、著者が「はじめてのブルーノート」も書いている小川さんだったからです。
本の内容は、ジャズマンが、いろんなアルバムやアーティストについて語ったインタビューをまとめたものです。
すごい人がたくさん出てきますが、有名なアーティストがアーティストを語るという、とてもパンチの効いたディープな内容です。
まだしっかりと読めていないので、また読み終わってから、ここに紹介したいと思います。
ディープなジャズ・インタビュー集②
ジャズマンはこう聴いた!珠玉のJAZZ名盤100
著者:小川隆夫
出版社:河出書房新社
こちらの本とセットで購入。続編のようで、紹介しきれなかった名盤を紹介しているのがこの本のようです。本の趣旨は同じで、相変わらずディープな内容となっております。まだあまり読めてないため、こちらも読み終わってから紹介していきたいと思います。
さらに、このジャズマンの”JAZZ名盤100”シリーズには、もう一つの続編があります。
僕はこれを持っていないので紹介することはできませんが、”コッソリ愛する”ということで、内容的にはマニアックでマイナーだけど隠れた名盤が紹介されているということなのでしょうか?上二つを読み終えたら、次はこれを読みたいと思っています。
その他
ここまでに紹介した本以外にも、とりあえず買ったもののまだ読めていない本がいくつかあるので紹介したいと思います。
□ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)
□さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想 (新潮文庫)
【番外編】さらなる深みへ。ジャズミュージシャンの系譜
林建紀[ジャズ・ミュージシャンの系譜]
このサイトはすごいです。圧倒的な情報量です。このサイトでは、楽器別にジャズマンの系譜・時系列を解説しています。このサイトのまえがきの文章を以下に引用させていただきます。
系譜を知らなくてもジャズは楽しめるが、知っていたほうが深く楽しめるのは確かだろう。まして、系譜はジャズで最も重視される個性の確立と密接に関わっているのだ。チャーリーやマイルスだって、最初からパーカーでありデイヴィスであったわけではない。誰しも模倣→葛藤→個性の確立というサイクルからは逃れられず、程度の差こそあれ先人の影響を受けているのだ。
引用:https://dot.asahi.com/musicstreet/archive/inst/?page=3
アドリブ中に、そのミュージシャンが影響を受けた人のよく使うフレーズを使うことがあるそうです。そんな時に系譜を知っていると、より深く楽しめるのは間違いないでしょう。アドリブを楽しむのがジャズの醍醐味の一つだと思うからです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。ここまで読んでいただきありがとうございました。全3回に渡るジャズおすすめ本紹介シリーズの中で、全部で9冊の書籍+1つのサイトを紹介しました。
今回記事を書いていると、改めてジャズはストイックでコレクター欲を刺激する娯楽だと感じました。
ジャズはレコーディングごとにメンバーが集められます。このアルバムでは誰が出演している、とか、この人とこの人が共演した、とか、求めればキリがありません。
また、知識だけではなく、ジャズへの理解力が求められます。物理的にも精神的にも、かなりのオタク気質が要求されると言えるのではないでしょうか。
そういった意味では、日本人はハマりやすいのではないかと思います。また、アルバムのジャケットの芸術性も高く、レコードを集めたくなる気持ちもとてもよくわかります。
僕は残念ながらレコードプレイヤーをまだ持っていないのでレコードは一枚も持っていません。しかし、僕の夢はジャズが聴けるブルワリーを開くことなので、その時にはお気に入りのレコードをたくさん集めておきたいと思っています。
前々回の記事:ジャズ入門①
前回の記事:ジャズ入門②