今回は、ビールのスタイルの1つである、「IPA」について紹介したいと思います。
IPAにはいくつかの種類があります。ニューイングランドIPAやBrut IPA、インペリアルIPAなどなど、いろんな呼び名がついています。それらの言わばIPAの派生形について紹介したあと、最後に個人的に考える美味しいIPAの定義について書いてみたいと思います。
IPAとは?
そもそもIPAとは何かというと、「インディアン・ペール・エール」の略で、これはイギリスで生まれたビールです。
その名の通り、"インドの"ペール・エールです。
では「ペール・エール」とは何かというと、これもイギリスで生まれたビールです。バートン・オン・トレントという場所で、「バス社」が開発したのがペール・エールです。ペールとは「淡い」という意味で、ペールエールは淡い色の「エール」という意味です。
さて「インディアン・ペール・エール」の話に戻りますが、その昔、インドに住むイギリス人が故郷イギリスのビールを飲むために、大量のホップを加え(ホップには殺菌作用がある)、アルコール度数を上げ、イギリスからインドまでの輸送に耐えられるビールを造りました。これがインディアン・ペール・エール(IPA)の始まりです。
さて、IPAはイギリス発祥と書きましたが、今IPAの本場がどこかと言えば、それは間違いなくアメリカです。「IPA」と言えば、一般的には、ホップのフルーティなフレイバーを抽出して、ビールに付与した「アメリカンIPA」を指します。もはやIPAというスタイルが持つ意味は、歴史的なものを超え、フルーティなフレイバーを持つホップをリスペクトしたビールといった定義に変わって来ています。
今では北米を中心に、品種改良された新たなホップが毎年のように生まれています。そして、IPA自体も進化を遂げ、〇〇IPAと呼ばれる様々なIPAの派生形が生まれました。
ここからは、IPAの派生系の例について紹介していきます。
これは厳密に区別されているわけではなく、分類をまたがっているものもあるので、あくまで雰囲気で捉えてもらえれば良いと思います。
IPAの種類
セッションIPA
セッションとはアルコール度数が低いという意味で、「セッション・エール」と呼ばれるエールビールもありますが、それと同じようにアルコール度数の低いIPAのことを呼びます。
度数が低いので、ゴクゴク飲めてしまう、ドリンカビリティの高いIPAです。
https://pivoblog.com/tag/sessionipa
インペリアルIPA
セッションIPAとは反対に、アルコール度数の高いIPAをインペリアルIPAやダブルIPAなどと呼びます。
IPAはフルーティで飲みやすいビールが多いため、インペリアルIPAの中にはアルコール度数を実際よりも感じさせないものとあり、そういったものはスルスルと飲めてしまうので気付いたら酔っている、なんていうこともあります。10%近いものもあるので、注意して飲む必要があります。
そういうIPAはバランスが取れているということなので、美味しいIPAでもあるのですが。
https://pivoblog.com/tag/imperial-ipa
ウェストコーストIPA
続いてはウェストコーストIPAです。
ウェストコーストとはその名の通り、西海岸です。特にサンディエゴにはアメリカを代表するクラフトビールブルワリーが沢山ありますが、この辺りで造られるIPAはホップフレイバーが強い特徴があります。こうしたIPAは、特にウェストコーストIPAと呼ばれます。
サンディエゴには沢山のブルワリーがありますが、ブルワリーごとに微妙に特徴があって、それを飲み分けて自己満足するというのも一興です。
例えばピッツァポートのIPAは、西海岸のカラッとした気候を彷彿とさせるような爽やかなフレイバーを持っています。また下でも紹介していますが、ストーンのIPAは振り幅が大きく、割と甘めで濃厚なIPAが多いです。トロピカルでジューシーなものから、ダンクでじっとりしたものまであります。他にもカールストラウスやモダンタイムス、コロナドなど、様々なブルワリーがあります。
サンディエゴのブルワリーのビールはタグをつけてまとめているので、宜しければこちらをご覧ください。
https://pivoblog.com/tag/san-diego
参考までにウェストコーストIPAをいくつか挙げておきます。スリーウィーバースは特に好きなブルワリーです。
https://pivoblog.com/tag/westcoast-ipa
Brut IPA
Brut IPAもここ最近流行りのIPAです。2019年5月には、ヤッホーブルーイングから、満天クライマーというBrut IPAが発売されました。5月現在とても話題になっています。
特徴はとにかくドライであることです。麦芽由来の糖を発酵しきることで、ドライに仕上がります。
口当たりが爽やかで、喉越しもクリア、後味にキレがあります。甘みが少ない分、ホップフレイバーをより感じやすいです。苦味を感じやすくなると思いきや、そこをうまくバランスをとっているIPAは美味しいと感じます。
https://pivoblog.com/tag/brut-ipa
ニューイングランドIPA
最後に、ニューイングランドIPAを紹介します。ニューイングランドIPAはアメリカの東海岸、ニューイングランド地域で発祥したIPAです。
一言で言うと、特徴は濁っているところです。ヘイジーIPAなんて言われたりもします。オレンジ色をしていて、見た目同様トロピカルジュースのようなフルーティでジューシーな口当たりがとても人気です。
濃厚なものからドライなものまでありますが、濁っていればニューイングランドIPAと呼ばれます。
なぜ濁るのかについては、麦芽の種類や大量に使用するホップに由来しているそうです。
ニューイングランドIPAの例ですが、国内のブルワリーでも頻繁に造られています。ここでは鬼伝説のNew地獄谷IPAを挙げておきます。これはとても美味しいです。アメリカのブルワリーからは、シエラネバダのヘイジーリトルシングを挙げています。どちらも有名で美味しいIPAです。
他にも国内だと、志賀高原ビールや、うちゅうブルーイング、伊勢角屋麦酒などのブルワリーで造っています。他にもたくさんあります。
https://pivoblog.com/tag/new-england-ipa
また、ここ最近は都内で多くのブルワリーが誕生していますが、割とニューイングランドIPAやBrut IPAなどのアメリカンスタイルのIPAを造っているところは多いです。そういうところのIPAがとても美味しかったりもします。
IPAを飲むのにオススメのグラス
また、IPAはチューリップグラスで飲むとより香りが際立ってオススメです。
ぜひ使ってみてください。
美味しい「IPA」とは?
最後に、個人的に思う美味しいIPAについて書きたいと思います。それは一言で言うと「バランスの取れた」IPAであることです。
ビールには苦味の強さを示すIBUという単位があります。ホップに含まれる苦味成分量から算出される値のようですが、IPAは特にIBUの高いビールが多いです。
例えば日本のラガービールは20前後くらいですが、IPAだと100を超えるものもあります。
ただ、IBUが高くても不思議と苦味を感じないものもあります。反対に、IBUが低くても苦味を感じるビールもあります。
ビールの味わいは、ビールの原料であるモルトやホップに含まれる様々な成分が複雑な味わいを形成します。このときのバランスの良し悪しが大切で、苦味を強く感じてしまうものは、IBUが低くても、バランスが悪いせいでそう感じてしまいます。バランスがいいビールは、苦味をさほど感じず、モルトの甘味やフルーティな香味が飲みやすさを感じさせます。
他には「後味」もビールの美味しさを感じる重要なポイントです。後味にズーンと嫌な感じの雑な苦味が残ってしまうビールも美味しいとは感じられません。後味が残るビールでも、心地よさのあるものは美味しいと感じます。
IPAはホップを大量に使うビールだからこそ、苦味成分も多く含まれており、そのバランスの良さ、後味の良さ、この辺りが味の印象を左右します。
これはあくまで僕がIPAを飲んだときに、美味しいと感じる基準を言葉にして書いているだけですので、人それぞれ基準はあると思います。それぞれの基準でビールを楽しめれば良いと思います。
今回は以上です。